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公開日:2023/09/22 更新日:2023/09/22

新人もベテランも活躍する!「最高の営業チーム」への導き方

営業チームをどうマネジメントしていくか、というテーマの本は、日々出版されています。それだけ成果を出せる営業チームを築くこと、率いることは難しいものであり、様々な理論や方法が提唱されています。
今回は、「営業スタッフが成長し続けられるベストな環境」や「優秀なプレイヤーが営業リーダーになったときに陥りがちな失敗」について解説していきます。

この記事の監修

大村康雄氏 株式会社エッジコネクション 代表取締役社長

 

営業チームの理想的な状態とは?

まず、「営業リーダーのあるべき姿」を解説する前に、「営業チームの理想的な状態」について解説をします。
そもそも、なぜ営業をチームで行うのでしょうか。それは、1+1=2という売上の積み上げではなく、チームメンバー同士での切磋琢磨、ノウハウ共有などを通して掛け算の戦力増強が可能になるからです。個人プレイヤーをいくら増やしても、それは足し算の積み上げにしかなりません。
営業チームの最大のミッションは、収益を右肩上がりに増加させていくこと 。つまり、営業チームの理想的な状態は、『収益を右肩上がりに増やしていける状態になっていること』といえます。具体的には、以下のようなポイントが挙げられます。

新人がいち早く戦力になれる環境である

配属された新人のうち一部だけが力を発揮する営業チームでは、時間が経つにつれて収益を増やすことは難しいです。ほぼ確実に全ての新人が力を発揮し、戦力化できる環境が整っている必要があります。

戦力化後も成長できる環境である

ある程度戦力化した後も、引き続き成長し、収益を増やしていける環境が必要です。

この2点をまとめると、『 新人もベテランも成長できる環境 』が営業チームの理想的な状態といえます。

営業スタッフが成長し続けられる環境とは?

それでは、『新人もベテランも成長できる環境』はどのように築けるのでしょうか。新人の即戦力化と、戦力化した営業スタッフの成長について、それぞれ解説していきます。

新人が戦力化するために必要なこと

新人をいち早く戦力化させるには主に以下の3点が必要です。

1.相手を引き込む営業資料の展開
相手を引き込むための営業資料は、まるで紙芝居のように表紙から最後まで読むだけで魅了することができるものです。世の中には、情報が詰まった資料から適宜必要な部分をピックアップして紹介するような営業スタイルもあります。しかし、このアプローチにはそれなりの営業センスが必要です。そのセンスを養うにはもちろん時間がかかるでしょう。
お客様と一緒に資料をめくりながら説明を進めるだけで、お客様が引き込まれていく、そのような営業資料であれば、新人の育成段階であっても商談が成功する可能性が高まります。

2.成約率の高い商談プロセスの定型化
初回商談後、どのようなアクションを取るべきでしょうか。提案書を作成、見積もりを提示、それとも過去の成功事例を紹介……。これは初回商談の状況によるものだと思う方が多いでしょう。その通りではありますが、成約率を高める効果的なアクションを導き出すためには、成熟した営業センスが重要です。
そこで新人に対しては、過去の実績から成約率が最も高かった商談プロセスを定型化し、 その流れ通りに実践するよう指示します。例えば、「当社の営業は、【初回商談→デモ→見積もり→成約】の流れで成約を獲る。」としたならば、新人は商談の際に、「デモの機会を確保する」といった次の目標を明確にして臨むことができます。こうすることで迷いが減少し、営業資料も「お気軽にデモいたします!」と記載するなど、定型化されたプロセスに合わせて効果的なサポートを行うことも可能になります。

3.一人前営業スタッフといえるまでの具体的な目標設定
相手を引き込む営業資料の展開や商談プロセスの定型化ができたら、次は適切な目標設定が必要です。
例えば、「配属から2週間以内にデモ依頼を1件獲得」「1ヶ月以内に見積もりを2件獲得」など、営業として一人前になるためにクリアすべき目標を具体的にそして段階的に示します。これにより、新人はどのくらいのスピードでどんな成果を出すべきかが明確になり、マネジメント側の期待とすり合わせることもできます。

戦力化した営業スタッフが更に成長するために必要なこと

新人が戦力化した後も、以下の点を徹底することでさらなる成長を引き出せます。

1.個のスキルレベルを揃えたチーム編成
例えば、入社3年目の人が、「こうした方が売上を増やせると思います」という提案をした場合に、入社10年目の先輩メンバーが素直にその提案を受け入れるでしょうか。また、自分の売上よりも先輩メンバーの売上が上回っていた場合、悔しいと思うでしょうか。おそらく、スキルや経験の差から当然のこととして受け入れてしまうのではないかと思います。その場合、3年目の人の成長速度が落ちてしまう恐れがあります。
もちろん先輩メンバーから学べることもあるでしょう。しかし、成長の鍵は同僚同士が刺激し合うことにあります。よって、 スキルレベルをなるべく揃え、刺激が生まれやすいチームを編成することが必要 です。

2.営業プロセスの達成件数の見える化とノウハウの共有
営業スタッフがそれぞれ、営業プロセスのどのステップを何件達成したかを週単位、月単位で数えることで、個々の差が明らかになります。「初回商談→デモ→見積もり→成約」という営業プロセスを採用したとしましょう。Aさんはデモ依頼の獲得率が高い、Cさんは見積もりからの成約率が高い、といった特徴が見えてきます。
そのような個人差の背景には、Aさん、Cさん独自のアプローチがあるはずです。その独自のアプローチを分析し、ノウハウを営業資料に取り込んだり、マニュアル化したりすることも重要です。他の営業スタッフもそのノウハウを学び、成長する機会を得ることができます。

3.ノウハウを共有する文化の醸成
これまでの内容から分かる通り、営業スタッフの成長には、スキル差の把握とノウハウの共有、モチベーションを維持しながら、高いパフォーマンスで働くことが重要です。つまり、営業チーム内で刺激を受け合い、学び、新しいアプローチを吸収し合う環境です。
その環境を築くためには、営業スタッフが独自に良いアプローチを生み出した場合、共有しやすい体制が必要です。 気軽に共有できるツールの活用や、評価制度の整備をする ことで、ノウハウ共有文化を醸成していけるでしょう。

優秀なプレイヤーが営業リーダーになったときに陥りがちな失敗とは?

ここまで、理想的な営業チームを形成するためのポイントを説明してきました。ここまで読んで「ここまで手取り足取り管理をする必要があるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。それこそが、優れたプレイヤーが営業リーダーになった際に陥りがちな罠です。優秀なスタッフが当たり前に思って取り組んできた営業業務でも、そうでない営業スタッフにとっては十分なトレーニングが必要なこともあるのです。「これくらい言わなくてもできるでしょう」と言ってメンバーへの教育を怠ると、新人もベテランも十分に成長できず、結果としてどんどん成果が出づらいチームになっていきます。そのため、マネジメントする側はしっかりと準備をし、成長できる基盤を提供することが必要です。

優秀なプレイヤーが気を付けるべきポイント
では、優秀なプレイヤーが営業リーダーに任命された際、どうすれば陥りがちな罠を避けられるでしょうか。主に2つポイントがあります。

  • 自分の思考や行動を言語化する
    自分の起こした行動の要因や思考を言語化して説明できるようにしましょう。なぜそのタイミングでそのように行動したのか、なぜその返答を選んだのかなど、部下から質問されたときにも適切な回答ができるようになります。大事なポイントを営業資料などに組み込んでいけば、他の人にも伝えることができます。
  • 自分のノウハウを率先的に提供する
    自分のノウハウを率先的に部下に伝える癖を身につけましょう。必然的に言語化しなければならない場面も増え、営業マネージャーとしてのスキルも向上します。

優秀なプレイヤーは売上を高めるためのノウハウを生み出す力をきっと持っているでしょう。ぜひ、陥りがちな失敗を回避し、優れたプレイヤーから優れた営業マネージャーへと変わるために、これらのポイントを活かしていただきたいと思います。